ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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Part.1 

2011-05-23UP

日本学生支援機構の奨学金制度



企画・構成:田中俊亘(教育ジャーナリスト)

シリーズ 11
公的奨学金と教育ローンの活用で探る
『自立進学の可能性』

Part.1
日本学生支援機構の奨学金制度

Part.2
日本政策金融公庫の国の教育ローン

Part.3 自立進学シミュレーション

Part.3−@
〔1〕大学在学中にかかる費用

Part.3ーA
〔2〕タイプ別シミュレーション


シリーズ 10
『〜教育力が問われる入試制度〜AO入試』

Part.1−@
プロローグ 前編

Part.1−A
プロローグ 後編


シリーズ 9
『専門学校の実力』

Part.1
データで分析する専門学校の現状

Part.2
専門学校の就職支援
綿密な就職指導や授業で学生をサポート

Part.3
専門学校の就学支援
奨学金など多彩な制度で学びを支える

Part.4
インタビュー
東京都専修学校各種学校協会



シリーズ 8
『魅力ある短期大学づくり』

Part.1
インタビュー
日本私立短期大学協会に聞く

Part.2 事例研究

Part.2−@
学生のキャリア意識形成を全力で支援
【埼玉女子短期大学】

Part.2−A
学ぶ喜びを体感できる新カリキュラム
【東京農業大学短期大学部】


シリーズ 7
『自立進学の可能性』(2010年・改訂版)

Part.1
プロローグ

Part.2 奨学金・教育ローンの可能性

Part.2−@
日本学生支援機構の奨学金

Part.2−A
国の教育ローン

Part.2ーB
大学の支援制度

Part.3
自立進学シミュレーション

 学費や生活費を学生自らが負担する親がかりでない大学進学を“自立進学”と名づけます。学費を減免する特待生や修学費用を支給する給費生に選ばれれば、可能であることはいうまでもありません。しかしそれは、学力などが特に優れた一部の学生だけが対象です。広く普及した公的奨学金と、公的金融機関が運営する国の教育ローンの活用による、普通の高校生の自立進学の可能性に迫ります。

平成21年度は
大学生の2.9人に一人が利用


 日本の奨学金制度の中で、最も広く利用されているのが日本学生支援機構の奨学金制度です。高校生の保護者世代のみなさんには、日本育英会の名前を覚えている方もいるのではないでしょうか。2004年、日本育英会は国や留学関連の公益法人が行っていた学生支援事業と整理・統合され、「独立法人日本学生支援機構」となりました。

 平成21年度(21年4月〜)、同機構の「第一種奨学金」(無利息)を利用した大学生(含短大生:以下同)は26万2,583人、「第二種奨学金」(利息付)が67万1,095人。その総数には両者をダブルで利用する学生も含まれますが、同年度の大学生数(268万8,295人)で割ると、2.9人に1人が利用している計算です。

 平成23年度入学者に対する第一種の貸与月額と返還時の月賦額は表-(1)の通りです。

 自宅外から通学する私大生の場合、月額貸与額が6万4,000円ですから、4年間の総額は307万2,000円となり、利用者は卒業後、18年216回にわけて月1万4,222円ずつ返すことになります。

 その貸与を受けるには、高校の成績(全体の評定平均値3.5以上)のほか、保護者の所得制限を満たす必要があります。4人世帯を目安とした年収上限は表-(2)の通りです。

月額12万円の
借り入れも可能


 一方の第二種には、全体の評定平均値のような数値による成績条件はありません。成績に関しては、

 (1)高等学校における成績が平均水準以上の者
 (2)特定の分野において、特に優れた資質能力があると認められる者
 (3)学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者

 と記されているだけで、しかもその「いずれかに該当する者」であれば受給資格は満たされます。(1)はともかく、(2)と(3)は、貸与希望者本人の申告次第でクリアできるのではないでしょうか。

表-(1) 日本学生支援機構「第一種奨学金」の貸与月額と返還月賦額



表-(2) 第一種奨学金の年収・所得の上限額

 また、第二種は、保護者の所得条件もかなり緩やかで、目安となる年収は1,000万円を超えます(表-(3))。

 その貸与額は3万円、5万円、8万円、10万円、12万円から選ぶことができます。私立大学の薬学部・獣医学部はさらに2万円、同医学部・歯学部は4万円の増額も可能。私大医学部への自立進学は考えづらいとしても、国公・私立の別なく、文系学部に進学しても月12万円が貸与されるとなれば、自立進学の可能性は大きく広がります。

 年額にして144万円。日本学生支援機構の奨学金貸与は入学後にスタートするため、初年度初回の学費に充当することはできませんが、入学年の前期納入分さえ事前に調達できれば、その一部を学費にあてることもできそうです。国立大学の授業料標準額が53万5,800円ですから、年額144万円の借り入れができれば、単純な年間ベースの計算ではまだ90万円ほどが残ります。その他の学費や生活費の一部が賄えるかもしれません。

 問題は、卒業後の半年後からはじまる返還額。月12万円・4年間総額576万円の返還には最大20年240回が設定されます。また、先述の通り第二種には年利3%を上限とする利息がつきます(平成23年3月現在の固定利率1.41%、変動0.60%)。その最大利息である3%で計算すると、月の返済額は3万2,297円。対する大卒者の初任給は20万円程度です。高いのか安いのか、意見が分かれるところではないでしょうか。


■日本学生支援機構
http://www.jasso.go.jp/


表-(3) 第二種奨学金の年収・所得の上限額