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国立国語研究所のプロジェクトで
複合辞の研究に着手
近藤先生は、昨年からこの研究の準備をしていたが、ちょうど国立国語研究所で「書き言葉コーパス」というプロジェクトが動き出し、そのなかの辞書編集班の1人という立場で研究を進めることになった。
コーパスというのは、英語で総体とか集成といった意味がある。言語学の分野でも、コンピュータを使った研究が進むなかで、言語データ集という意味でよく使われるようになった。また、コーパスを使って研究を行う言語学をコーパス言語学と呼ぶ。
プロジェクトの研究期間は5年。近藤先生は「5年後までには、いまお話ししたような複合辞のリストをつくって、もう『などがある』といわなくてもいいようにしたいと思っています」と意欲的に話す。
文章を切らず長々と続くのが
日本語の本質ではないのか?
近藤先生は、コンピュータによる日本語研究を進めてきて、日本語文法体系の再構築につながる手応えを感じ始めている。
「これまでの文法の研究というのは、頭で考えたり直感を頼りにしてやっていましたから、従来の体系を改訂するだけで精一杯だったんです。従来あったものに少しだけ足していく、というようなかたちですね。ところが、コンピュータを使って研究するようになると、これまでまったく問題になっていなかったことが、むしろ重要なのじゃないかと思うようになりました。
たとえば、『ことが』と『のが』の研究をしていて気づいたのですが、現代語では『のが』を何度も繰り返すことがよくあります。『ので』も同じですね。『のが』や『ので』で接続してどんどん続いていく。そういう表現はあまりいいことではないとされていますが、実はそうじゃなくて、言葉を切らずに続いていく表現が、むしろ日本語の本質であって、切るほうがおかしいのじゃないか。そういうことが、いろいろなものを調べていくうちにわかってきたのです。
いままでの文法体系でいうと、主語と述語から成る文が基本となっています。英語の文法はたしかにそうですね。ところが、日本語では主語、述語がないこともよくあります。そして、長々と続いていく。そういうふうに、主語、述語がなくて長々続くのが日本語の本当の姿なのではないでしょうか。
平安時代もそうなんです。ダラダラと長く文が続いていく。あれは昔の言葉だからといわれていますが、実はいつの時代もそうなのじゃないかと思います。とくに話し言葉は。そして、おそらくそこに日本語の本質がある。
ですから、それを上手に表現する文法をつくれば、現代語の話し言葉にも、平安時代の言葉にもあてはまる文法体系ができるはずです。それをめざして研究を進めていきたいと思っているのです」
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近藤泰弘(こんどう やすひろ)
1979年、東京大学大学院 人文科学研究科国語国文学専門課程修了。東京大学文学部助手、日本女子大学文学部専任講師・助教授を経て1991年から青山学院大学文学部日本文学科助教授。1998年から現職(大学院併任)。主な著書に『日本語記述文法の理論』『日本語の歴史』(共著)などがある。格納されている。
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