ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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第11回 Part.4

2009-03-02UP

スポーツビジネスのあり方を科学的に考察(4)
〜スポーツ消費者と「ファンビジネス成功」の方程式

早稲田大学 スポーツ科学学術院
原田 宗彦研究室

第17回
ウェアラブル技術で健康危機管理を実現
《東京理科大学 総合研究機構 危機管理・安全科学技術研究部門 板生清研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第16回
「はやぶさ」が太陽系大航海時代の扉を開く
《宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所/月・惑星探査プログラムグループ》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第15回
風力など新エネルギー導入促進の技術を探る
《工学院大学 工学部電気システム工学科 荒井純一研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第14回
体型分析を基に快適な衣服づくりを追求
《日本女子大学 家政学部被服学科 大塚美智子研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第13回
時代に適した経済や金融のあり方を探る
《慶應義塾大学 経済学部 池尾和人研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第12回
対話型コンピュータの実現をめざす
《成蹊大学 理工学部情報科学科 中野有紀子研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4
Part.5

第11回
スポーツビジネスのあり方を科学的に考察
《早稲田大学 スポーツ科学学術院 原田宗彦研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4
Part.5

第10回
ヒートアイランドや都市型強雨の実態を解明
《首都大学東京大学院 都市環境科学研究科  高橋日出男気候学研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


『新・研究室はオモシロイ』(全16回)
雑誌「ドリコムアイ」に掲載された記事をPDFファイルでご覧いただけます。

 前回は、チーム経営の厳しさは分かっていても、各地域からJリーグ入りをめざすチームが次々に出ており、各チームがそれぞれの地域のファンを獲得していくことで地元の活性化につながるという話をした。引き続き、原田先生に伺ってみよう。

5つのポイントから成り立つ
ファンビジネス成功の方程式


 原田先生は、長年の研究を通じて、スポーツチームがファンを獲得し事業化を成功させるための方法論を導き出した。それが『ファンビジネス成功の方程式』だ。

「方程式といっても、単純にすべてのチームにあてはまるわけではありません。実際には地域ごと、チームごとに方程式があると思いますが、それらを普遍化したモデルを示したものです。
 方程式のポイントは5つあります。

 1つ目は、商品アイデンティティです。スポーツチームが提供する商品はゲーム自体だけではありません。ゲームを観戦することによって得られる、楽しさ、ファン同士の交流、興奮、感動といった『経験』こそが商品の本質であり、そこを理解することが必要です。

 2つ目は、地域密着化とステークホルダーです。チームが地域に密着することによって、ファンのロイヤリティ(チームへの忠誠心)を育てるとともに、自治体や地元企業などをステークホルダー(利害関係者)として巻き込んでいくことが大事です。

 3つ目は、リーダーシップです。チームを運営し事業として発展させていくためには、強いリーダーシップが必要です。その役割を担うのがGM(ゼネラルマネジャー)で、GMはチーム経営とチームづくりの両面で舵取りをしていくことが求められます。

 4つ目は、トポスと舞台のクオリティです。トポスは場所を表す言葉で、愛着を感じる場所をトポフィリア(フィリアは愛を表す言葉)といいますが、スタジアムをファンが愛着を持つ場所にすることが必要です。さらに、そこが美しく快適で機能性にも富んでいるなど、舞台のクオリティが高いことも大切です。

 5つ目は、ブランディングです。これはチームのブランド価値を高めていく活動のことで、ファンを増やしたり、スポンサーから資金を調達したりするうえで非常に重要です。

 これらのポイントに、各地域やチームごとに必要となるものを加えて創意工夫することで、ファンビジネス成功の道筋が見えてくるのではないかと考えているのです」


▲原田 宗彦 教授

従来の理論ではとらえきれない
スポーツ消費者の意識と行動


 ミクロの視点では、「スポーツ消費者」の意識や行動を明らかにすることが中心的なテーマになっているそうだ。スポーツ消費者とは、スポーツを観戦するファン、フィットネスクラブの会員など「スポーツ自体を消費する人」のことだというが、一般商品の消費者とは異なる特徴があるのだろうか。

「スポーツ消費者の意識や行動は、基本的には一般商品の消費者と共通項が多くなります。ただ、スポーツ消費者にはやや特殊な面もあります。たとえば、予測できないものに対して支出をします。クラシックコンサートなら、最高のパフォーマンスを期待できることはチケットを購入する時点で分かっています。ところが、スポーツの試合はどうなるか分からない。まったく予測がつかないけれど、その反面、滅茶苦茶エキサイティングできるかもしれない。

 あるいは、一般商品なら品質が悪ければ、再びその商品を買うことはないでしょう。しかし、スポーツチームのファンの場合、試合のパフォーマンスが悪くても、チームがボロ負けしても、何度でもスタジアムに足を運ぶ人がたくさんいます。

 このように、スポーツ消費者の意識や行動は、従来の消費者理論では説明できない部分もあるのが特徴です。そうした非合理的な部分も含めてスポーツ消費者の意識や行動を明らかにしていくことが、スポーツマーケティングの重要なテーマになります」

《つづく》
(次回は最終回、「ファン意識や行動を解明し新たな研究を開始する」です。)



■早稲田大学スポーツ科学学術院
http://www.waseda.jp/sports/