ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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第12回 Part.1

2009-04-13UP

対話型コンピュータの実現をめざす(1)


成蹊大学 理工学部情報科学科
中野 有紀子研究室

第17回
ウェアラブル技術で健康危機管理を実現
《東京理科大学 総合研究機構 危機管理・安全科学技術研究部門 板生清研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第16回
「はやぶさ」が太陽系大航海時代の扉を開く
《宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所/月・惑星探査プログラムグループ》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第15回
風力など新エネルギー導入促進の技術を探る
《工学院大学 工学部電気システム工学科 荒井純一研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第14回
体型分析を基に快適な衣服づくりを追求
《日本女子大学 家政学部被服学科 大塚美智子研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第13回
時代に適した経済や金融のあり方を探る
《慶應義塾大学 経済学部 池尾和人研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4

第12回
対話型コンピュータの実現をめざす
《成蹊大学 理工学部情報科学科 中野有紀子研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4
Part.5

第11回
スポーツビジネスのあり方を科学的に考察
《早稲田大学 スポーツ科学学術院 原田宗彦研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4
Part.5

第10回
ヒートアイランドや都市型強雨の実態を解明
《首都大学東京大学院 都市環境科学研究科  高橋日出男気候学研究室》
Part.1

Part.2
Part.3
Part.4


『新・研究室はオモシロイ』(全16回)
雑誌「ドリコムアイ」に掲載された記事をPDFファイルでご覧いただけます。

 私たちの生活や仕事にはコンピュータが欠かせなくなってきた。しかし、あらためて考えてみると、コンピュータの操作にキーボードやマウスがほぼ必須なのは、いつまで経っても変わらない。近未来を舞台にした映画や小説のように、人間が話しかけるとコンピュータが返事をしてくれるようになる時代はまだ遠いのだろうか。

 今回は、アニメーションキャラクターなどを活用した、人間とコンピュータのより自然なインタラクション(相互のやりとり)の研究をしている成蹊大学理工学部情報科学科の中野有紀子先生の研究室を訪ねてみた。

人間とコンピュータを結びつける
親切な会話エージェント


 まず、最初に、中野先生がこうした研究に取り組んでいる背景や目的から教えていただこう。

「いま、あらゆるジャンルでコンピュータが重要性を増し、使わない人が珍しいくらいになっています。でも、コンピュータは使いやすくなっているかというと、疑問もあります。『情報弱者』という言葉がありますが、コンピュータが苦手な人、使ったことがない人にとって、コンピュータの操作はまだまだ難しいと思います。

 そこで、たとえば人間の言葉を理解できるアニメーションキャラクターが人間と会話しながら操作の説明をしたり、情報を提供してくれたりすれば、コンピュータはもっと使いやすくなるのではないかと考えました。そういうものを会話エージェントと呼ぶのですが、会話エージェントによる究極のユーザインタフェース(ユーザーとコンピュータが情報をやりとりする装置や方法)の実現をめざしているのです」

 エージェントというのは、情報科学、とくに人工知能の分野でよく使われる言葉だ。この言葉自体はもともと「代理人」とか「動作主」といった意味があるが、その両方の要素を持ち、人間とコンピュータの仲介役として自律的に動くのが会話エージェントだ。


▲中野 有紀子 准教授

コミュニケーションを促進する
アニメーションキャラクター


 会話エージェントは、カタチを持たないプログラムだけの場合もあるが、中野先生はアニメーションキャラクターにすることを重視している。

「人間とコンピュータとの対話は、音声だけでも可能ですが、アニメーションキャラクターを使うことで、コミュニケーションがより正確でスムーズになることが期待できるのです。

 人間とコンピュータのインタラクションにはいくつかの段階があります。まず、キーボードから入力するテキストベースでのやりとりがあり、これは人間同士だと電子メールやチャットに相当します。次に、音声認識や音声合成による音声対応システムがあり、これは人間同士だと電話での会話といえるでしょう。そして、私たちがめざしているのが、人間とアニメーションキャラクターの会話で、これは人間同士の対面会話と同様のものです。

 アニメーションキャラクターを使うメリットの1つに直感性があります。アニメーションキャラクターとの会話は、人間同士の会話と同じ感覚で進めることができるので、話がわかりやすくなります。

 それから、コミュニケーションとしての頑健性があります。アニメーションキャラクターは、言葉に表情や身振りなどが加わり、コミュニケーションのモダリティ(様式)が多くなるので、話の意味をより正確に理解することができるのです」

 中野先生によると、アニメーションキャラクターを使った会話エージェントの研究は、まだ新しい分野だ。2000年前後にコンピュータグラフィックスの技術が格段に向上したことが大きな要因になって、研究が加速するようになった。いまでは、リアルなアニメーションキャラクターを比較的手軽につくって研究に活用することができるそうだ。

 最近の具体的な研究例としては、「操作説明のためのヘルプエージェント」「ユーザーの態度に気づく会話エージェント」「異文化コミュニケーションを支援する会話エージェント」「没入型環境におけるガイドエージェント」などがある。それぞれどのようなものなのか、具体的な内容を教えていただくことにしよう。

《つづく》
(次回は「アニメーションキャラクターを使った会話エージェントの具体的な研究内容について」です。)



■成蹊大学 理工学部
http://www.seikei.ac.jp/university/rikou/