押すべきボタンが分からなければ
画面上を移動して指し示す
こうした過程を経てプログラムを作成し、ウサギのキャラクターの操作説明エージェントができあがった。
たとえば「地上デジタルと地上アナログのボタンが表示されます」と説明して、表示されたら「アナログのボタンを押してください」と喋る。もしボタンが見つけられないようだと、ボタンのところまで移動して「ボタンはこちらです」と指し示す。これなら、わからない人はまずいない。では、エージェントはどのようにして自律的に説明をしているのだろうか。
「このシステムでは、キャラクターの発話や行動を会話管理部というところで制御しています。何かの説明をしているとき、同時にマウスの動きのデータをどんどん取り込んでいます。そのデータを基にユーザーの行動をベイジアンネットワークで高速に推論します。ボタンを見つけられないようだ、ボタンをクリックしそうだ、といったことを判断して、次に何を話すべきか、何をするべきかを決めているのです」
ユーザーが最終的にすべきことは、すべて「ゴール群」として設定されている。また、そのゴール群にたどり着くために助けとなる説明や行動を選択するための「ルール群」が用意されている。
会話管理部は、現在の会話内容、ユーザーの状態、ゴール群を照らし合わせて、助けを出すためにどのルールを使うか決め、たとえば「Aボタンを押す」というゴールまでユーザーを導いていく。
できあがったシステムは評価実験も終えている。21歳から69歳までの男女10人ずつ計20人を対象に、ビデオマニュアルによる操作説明とこのシステムとを比較してもらった結果、ビデオマニュアルよりもこのシステムのほうがずっとわかりやすくて便利だという評価が得られている。
【用語解説】
*1 エージェント:情報科学、とくに人工知能の分野でよく使われる言葉。この言葉自体はもともと「代理人」とか「動作主」といった意味がある。
《つづく》
(次回は「ユーザーの態度に気づく会話エージェントについて」です。)