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業績の低迷期に関心を集め始めた
コーポレート・ガバナンス
池尾先生は、日本経済や金融という大きな視点だけでなく、個々の企業のあり方も研究対象としている。企業は経済活動の主体であり、その健全な発展が経済全体の発展にもつながってくるからだ。
企業にかかわる最新の研究テーマとしては「コーポレート・ガバナンス」があるという。そこで、今回の取材の最後に、このテーマについて教えていただくことにした。そもそもコーポレート・ガバナンスとはどのようなものなのだろう?
「日本でコーポレート・ガバナンスという言葉が使われるようになったのは最近のことです。実は、定義もなかなか難しく、定義自体が議論の対象になっているぐらいです。
あえて簡単に説明するなら、企業の経営者がきちんとした仕事をしているかチェックするしくみのようなもの、といえるでしょう。
もし、企業の経営者がおかしな行動をするようになったとしても、部下が異議を申し立てるのは難しい。そうすると、経営者は『裸の王様』になって、おかしな行動を続けてしまう。
そういうことにならないように、お目付役のような人を配置して経営者の行動をチェックし、必要なら異議を唱えたりアドバイスをする。そういうイメージですね」
コーポレート・ガバナンスは、アメリカで1980年代頃から必要性が議論されるようになり、日本でも10年ぐらい前から徐々に関心を集めるようになったという。
「経営者がしっかりしていて、企業の業績もよければ、誰もコーポレート・ガバナンスなんてことは考えません。
ところが、アメリカの経営者の中には、企業全体のことや企業にお金を出している株主のことよりも自分のことを考えるような人が出てきた。プライベートジェット機を何台も買ったり、豪華な社長室をつくったりするようになったのです。そういう企業は業績も下がって、アメリカの企業は全般的に低迷が目につくようになった。そういう状況の中でコーポレート・ガバナンスという発想が出てきたのです。
日本も同様です。1990年代の長い不況期に企業業績が下がり続け、コーポレート・ガバナンスが関心を集めるようになったのです」
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池尾 和人(いけお かずひと) 1953年、京都府生まれ。1975年、京都大学経済学部卒業。1980年、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了。岡山大学経済学部助教授、京都大学経済学部助教授を経て1994年、慶應義塾大学経済学部助教授。1995年から現職。経済学博士。主な著書に『日本の金融市場と組織』(東洋経済新報社)『現代の金融入門』(ちくま新書)『銀行はなぜ変われないのか』(中央公論新社)『開発主義の暴走と保身』(NTT出版)『なぜ世界は不況に陥ったのか』(日経BP社)などがある。
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