電気に含まれる信号を使って
貯蔵装置をコントロール
もう1つの問題は、貯蔵装置を制御するにはどのような方式がいいのかということだ。
「貯蔵装置の制御というのは、発電量が増えてきたら貯蔵装置にどのくらい電気を貯蔵し、発電量が減ってきたときに貯蔵装置からどのくらい電気を出すか決めて、その指令を出し、出力がフラットになるようにコントロールすることです。
その制御は、何らかの信号をもとにして行うことになりますが、発電量の変動は風速によるものなので、いまは主に風速を信号として使って制御のシミュレーションをしています。といっても、風速自体を検出するわけではありません。風速の変化はそのまま発電量の変化として表れるので、流れてくる電気から発電量の変化を信号として検出し、それに基づいて貯蔵や放電の指令を出すようにしています」
さらに細かく見ると、風速の変化(発電量の変化)には『速い成分』と『遅い成分』と呼ぶものがあり、どちらを信号として使うほうがいいのかも研究課題になっているそうだ。
「速い成分というのは、1秒とか2秒で変化する風速のことです。遅い成分というのは、もう少し長い時間でとらえた風速の平均値のようなものです。
これをグラフに表すなら、遅い成分は比較的ゆるやかに変化する線として描くことができます。速い成分は遅い成分の線に沿っているのですが、小刻みに変化するギザギザの線になります。
では、どちらの信号を使うのか、それとも両方の信号を組み合わせて使うのか。その辺りがなかなか難しいのです。または、もっといい信号が別にあるかもしれない。したがって、このテーマについてもさまざまな設定でシミュレーションを行いながら、制御しやすくてフラットな出力を実現できる方式を探っていきたいと考えています」
荒井先生は、この研究は比較的早い時期に実用化できるのではないかと見ている。荒井先生の提案する電力貯蔵装置が風力発電の現場で導入されたら「実際の運用を通じて得られるデータなどを踏まえて、より精度の高い装置の開発につなげていきたい」と意欲的に語る。
《つづく》
(次回は「新エネルギーを有効利用するために欠かせないインバータについて」です。)