ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン

キャリア教育実践レポート

2006-06-12UP

「産業社会と人間」
Part.1 晴海総合高校の実践例 vol.2

インタビュー
東京都立晴海総合高等学校
キャリアカウンセラー 千葉吉裕先生

●キャリア教育実践レポート「専門高校の日本版デュアルシステム推進」

Part.1 茨城県立日立工業高等学校の実践レポート
vol.1

vol.2


●キャリア教育実践レポート「栃木県のキャリア教育研究開発推進」

Part.1 栃木県立栃木商業高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


●キャリア教育実践レポート「千葉県のキャリア教育研究開発推進」

Part.1 千葉県立浦安高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


●キャリア教育実践レポート「静岡県のキャリア教育研究開発推進」

Part.1 静岡県教育委員会高校教育課に聞く
vol.1
vol.2

Part.2 静岡県立静岡農業高等学校の実践レポート
vol.1
vol.2


キャリア教育実践レポート「かながわキャリア教育実践推進プラン」

Part.1 神奈川県の取り組み紹介
vol.1
vol.2

Part.2 神奈川県立横浜桜陽高等学校の実践例
vol.1

vol.2


Part.3 神奈川県立光陵高等学校の実践例
vol.1

vol.2


●キャリア教育実践レポート「産業社会と人間」

Part.1 晴海総合高校の「産業社会と人間」実践例
vol.1
vol.2
vol.3

Part.2 筑波大学附属坂戸高等学校の「産業社会と人間」実践例
vol.1
vol.2

Part.3 神奈川県立大師高等学校の「産業社会と人間」実践例
vol.1

vol.2
vol.3


●現在の高等学校におけるキャリア教育の実態

Part.1 文部科学省がキャリア教育を推進する背景


Part.2 全国高等学校進路指導協議会事務局長 千葉吉裕氏に聞く
vol.1 前編
vol.2 後編

「産業社会と人間」
1年間の具体的な活動内容

 「産業社会と人間」で最初に行うのは、自己理解を深めるための作業です。

 とはいえ、高校生ぐらいの段階では自分を客観的に捉えるのはまだ難しく、自分の力を過信したり、逆に過小評価したりすることが多いものです。そういった意味では人から自分のことを教えてもらうという方法がとても有効で、そのためにはそれを可能にする環境作り、つまり他者とのコミュニケーション能力を高めることが必要になります。

 この能力を高めるため、本校では「コンセンサスゲーム」という活動を行います。これは、砂漠で遭難したという想定のもと、班ごとに話し合って、手元に残された12の物品に重要度に応じて順位をつけていくゲームです。生徒たちはこのゲームを通して、人の意見に耳を傾けると次々によいアイディアが得られることや、同じ言葉でも人によって捉え方が違うこと、話し合って納得しながら物事を決めていくのは気持ちがいいものだということを学びます。

 その活動が終わると、次は“フレッシュマンキャンプ”と呼ばれる2泊3日の合宿研修に出かけます。そこでまず行なうのは11月に行う科目選択をやってみること。これによって科目を選ぶことの難しさを理解し、一年間しっかりこの授業で学ぶことの必要性を認識します。

 さらに、自分をより理解するために他人から自分のことを教えてもらおうということで、グループワークも行ないます。これはあらかじめこちらが用意した性格を表わす63の表現の中から、班のメンバー同士でそれぞれに合ったものを4つずつ選ぶという活動で、選択後、何故それを選んだのか理由を言いあいます。

 この時、用意する性格は「愛嬌がある」や「活発」などポジティブなものばかりで、ネガティブなものは一切含まれません。ですからいじめになるようなことはなく、自分はクラスの友だちからどういうふうに認められているのか、わかることになる。全員がそうした作業を終えて、東京に帰ってくるわけです。

コミュニケーション能力の重要性



 東京に帰ってきて最初の授業は、客観的に自分を知るための「職業レディネステスト」を行います。「職業レディネステスト」はホランドの職業選択理論で作られた診断テストで、生徒の職業的な指向性のみならず、性格や興味関心を判断することができます。

 「ホランドの職業選択理論」に拠ると、その人のパーソナリティーに合致した職業環境を選んだとき、もっとも自分らしさを発揮できるとされています。高校1年生くらいの発達上の特徴として、現実的に自己を捉えられるようになり、性格や興味の指向もだいたい固まってきます。この時期に、このテストによってパーソナリティーを客観的に理解することは、とても大切なことだと言えるでしょう。
このテストの結果で、多くの生徒にキャリアカウンセリングを実施します。

 ここからいよいよ職業や進学の進路情報について調べる学習が始まります。

 職業についての学習では、例えば官がつく職業とか、士がつく職業というようにキーワードを与えていろいろな職業を挙げさせ、世の中にはいろいろな職業があることに気づかせる活動も行います。次に、起業、雇用状況の変化、フリーター、少子高齢化社会などの問題について班別の調査学習を行います。

 そのようないくつかのテーマについて調べ、発表もします。社会が変化していることを感じさせ、未来社会を想像することの大切さを学んでいきます。
一方で上級学校のことを話しながら、大学入試についての進路学習なども行ないます。

 こうした一連の授業が終わったところで、科目選択を迎えます。

 11月に入り、科目選択の予備調査が終わった段階で、職場訪問を実施します。実際に働いている人から聞く話は生徒に大きな影響を与えます。本校の周辺には様々な企業があるので、毎年20社くらいに分かれて訪問し、翌日、クラス全員の前で自分が見てきたことを話します。それによって、職場訪問で得た情報を共有することになります。

 1年間の授業の最後は、ライフプラン作りを行います。生徒が生まれた年から1年ずつ社会状況やヒット曲などの世相が書かれた年表を渡し、そこに当時の自分を思い出しながら自分史を作ります。この作業では辛かったことを思い出す生徒もいるので、教師のフォローが必要になります。生徒によっては書きたくないこともあるでしょうから無理に書かせることはしていません。

 過去を振り返ったのちは未来を展望させ、将来設計を行わせます。人生は転機の連続であることを理解させ、暫定的ではあるが目標を立てさせます。

 それぞれのライフプランが完成した後、クラスのみんなにそれを発表し、さらにそこから数名を選んで学年全員の前で発表させます。この時には、希望があれば保護者にも見てもらっていますが、毎年とてもおもしろい発表になり、非常に好評です。



ホランドの理論