ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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53-1

2012-01-23UP

同じ10代でも差異がある
〜将来のことは…何とかなります〜


工藤 啓

53 同じ10代でも差異がある
53-1 〜将来のことは…何とかなります〜
52 非日常下の成長
52-1 〜漁船にて海上に出る〜
52-2 〜無人島に踏み出す〜
51 被災地貢献のカタチ
51-1 〜現地に行けない若者たち〜
51-2 〜東京から被災地を支援する〜

50 地域に若者の居場所はない
50-1 〜不審者と思われる日常〜
50-2 〜図書館を子ども・若者の居場所に〜
49 人前で話をするのが苦手
49-1 〜他者に迷惑をかけない〜
49-2 〜客観的な“できている”で変わる〜
48 セーフティーネットとしての高校
48-1 〜給食が唯一の栄養源〜
48-2 〜学力やキャリア支援だけではなく〜
47 地震のとき若者は
47-1 〜情報を届ける〜
47-2 〜情報を拡散する〜
46 再学プログラム
46-1 学び直し機会を創る(1)
46-2 学び直し機会を創る(2)

45 卒後生活への不安
45-1 〜故郷への愛情と東京への期待〜
45-2 〜未内定より不安なこと〜
44 学び直しの取り組み
44-1 〜学び直しのニーズ〜
44-2 〜学び直せる環境作り〜
43 未来を志す
43-1 〜目的ある進路決定〜
43-2 〜行動してから考える〜
42 自分と仕事の関係性
42-1 〜自分の仕事の捉え方〜
42-2 〜3つの「ワーク」〜
41 社会人になりたい
41-1 〜社会人と会社人〜
41-2 〜社会の一員になるには〜

40 自己肯定感の喪失
40-1 〜社会の役に立ちたい〜
40-2 〜自分は人から必要とされていない〜
39 若者はコミュニケーション力がないのか
39-1 若者はコミュニケーション力がないのか(1)
39-2 若者はコミュニケーション力がないのか(2)
38 大学生の就職不安
38-1 大学生の就職不安(1)
38-2 大学生の就職不安(2)
37 価値観は“ソーシャル”へ
37-1 価値観は“ソーシャル”へ(1)
37-2 価値観は“ソーシャル”へ(2)
36 仕事につながるナナメの関係
36-1 仕事につながるナナメの関係(1)
36-2 仕事につながるナナメの関係(2)

35 「働く」が難しい
35-1 「働く」が難しい(1)
35-2 「働く」が難しい(2)
34 就活スーツについて
34-1 就活スーツについて(1)
34-2 就活スーツについて(2)
33 地域の力で自己成長
33-1 地域の力で自己成長(1)
33-2 地域の力で自己成長(2)
32 中学4年生
32-1 中学4年生(1)
32-2 中学4年生(2)
31 若者の不安とひとのつながり
31-1 若者の不安とひとのつながり(1)
31-2 若者の不安とひとのつながり(2)



 ここ数年、10代の学生からtwitterやFacebookで直接連絡をいただいたり、スタッフや友人、知人のつながりから同じく10代の若者とじっくり話をすることが増えました。みなとても素直で明るい若者です。とは言え、将来や社会に対する関心や取り組みという側面から見ると“これほどまで!”というくらい差異を感じます。

 地方の高校に越境し、都内の大学に通うことになった男性は、私のような15歳以上も年齢が離れた大人と話をした経験がほとんどないらしく、緊張しながら話をしました。社会問題や政治のこと、時事的な話題は「わかんねっす」と笑顔で答えます。一方、AKB48の話や、流行りの音楽など彼の身近な話題となると凄く楽しそうに、また、丁寧に話をしてくれます。

 私が、「やっぱり友人との連絡はtwitterとかFacebookとか使ってやりとりするのかな?」と尋ねると、「twitterはやってません。Facebookって何ですか?」と言います。同じ10代とは言え、それらのソーシャルメディアを使いながら、友人とのコミュニケーションのみならず、さまざまな情報を取るタイプの若者と話をすることが多かったものですから、ちょっと驚きました。

 もう少し将来のことについて話を聞いてみようと、卒業後の進路や、仕事を含めたキャリア感についても聞いてみましたが、いまのところは何も考えていないようです。「将来のことは…何とかなります」と、ボソッと言うだけです。中学や高校でもキャリアに関する授業はあったようですが、あまり興味を持てないものだったそうです。また、自分の将来について友人や家族と話すこともないらしく、若干不安ではあるものの“それなりに何とかなる”と言うのみでした。

 最初は何も考えてないのかなと思ったのですが、不安になるくらいですから考えているはずです。ただ、周囲に相談ができる環境もなく、何からどう考えていいのかもわからない。そうこうしている間に時間だけが経ってしまっている状況に焦りばかりが募るも、それを考えようとするだけで苦しいため、考えることから逃げてしまっていることを、彼は自覚していました。

 何かお手伝いできることがあったら連絡してくださいねと伝えたところ、数日後に長いメールをもらいました。そこには、「周りは僕と同じくあんまり将来のことを話すような感じではないので、またお話しできますか?」とありました。彼は将来について考えることから逃げているのではなかったのです。考えるための環境、相談できる“誰か”を求めているのです。たまたま彼にとっては私であったわけですが、もっと大人の側が次世代の将来について、多少“おせっかい”であったとしても、積極的に関わってもいいのだと改めて思いました。


工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。

2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)