ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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24-2

2008-07-28UP

大人社会を読む(2)


工藤 啓

30-2 〜 21-1

30 働き方を模索する
30-1 働き方を模索する(1)
30-2 働き方を模索する(2)

29 原体験を見る
29-1 原体験を見る(1)
29-2 原体験を見る(2)

28 高校が抱える進路指導課題
28-1 高校が抱える進路指導課題(1)
28-2 高校が抱える進路指導課題(2)

27 学校を辞めるということ
27-1 学校を辞めるということ(1)
27-2 学校を辞めるということ(2)

26 インターンシップへの期待
26-1 インターンシップへの期待(1)
26-2 インターンシップへの期待(2)

25 キーワード
25-1 キーワード(1)
25-2 キーワード(2)

24 大人社会を読む
24-1 大人社会を読む(1)
24-2 大人社会を読む(2)

23 働き始めた若者
23-1 働き始めた若者(1)
23-2 働き始めた若者(2)

22 日韓にみるワカモノの実情
22-1 日韓にみるワカモノの実情(1)
22-2 日韓にみるワカモノの実情(2)

21 大切なのはポジショニング
21-1 大切なのはポジショニング(1)
21-2 大切なのはポジショニング(2)




 都内の都立高校で一時間目から講義をする機会がありました。朝一番の授業ですから、まだ夢から覚めていない学生もいます。ある男子学生は、私が教室に入る前から机に突っ伏して寝ていたようです。熟睡しているように見えました。講義が始まっても動けず、担当の先生からも「放っておいてください」と言われてしまいましたので、普段のように声を掛けることもしませんでした。

 50分間の講義が終わる頃、彼は目覚めました。表情を見ると、よく寝たという感じは見受けられず、ちょっと体調が悪いように見えました。講義が嫌で寝ていたというより、それ以外の選択肢が持てなかったのかもしれません。先生に促されて、感想文だけは書いていました。学生の数が少なかったので、彼のアンケートがどれかはすぐに分かりました。「講義を聞けない状況だったのだから、感想文など書けるわけない」と思ったのですが、読んでみて驚きました。

 感想文の内容は素晴らしく、何より、“大人が喜びそうな”文章なのです。「本日はお忙しいなか講義に来てくださりありがとうございました。今日の講義を活かして、自分の将来をしっかりと考えていきたいと思います」云々。

 講義が終わって、休み時間に彼をつかまえて立ち話をしました。もちろん、説教などをするつもりはありません。ちょっと気になったので、「今日の講義は寝ていたけど、感想文はすごくしっかり書いてあり、びっくりしたよ」と話したところ、彼は「寝ていたのはすみませんでした。ただ、感想文などで“寝ていた”とか“つまらなかった”などと書くと、学校側の講師に対する印象や評価が悪くなるでしょう。だから、“そこ”はちゃんと大人の求めるものを書きますよ」と笑顔で答えました。

 私は、彼に対してとても“大人”だと感じました。良し悪しはともかくとして、です。大人の事情を理解し、大人社会を読める学生。一般的には「かわいくない」「素直でない」という評価をされてしまうかもしれませんが、社会人としてはどうでしょう。企業人としてはどうでしょう。相手(お客様)のニーズに合わせて、的確に対応できる人材かもしれません。方々で学生と話をしますが、ある部分、非常に“大人化”している若者が目立ちます。それに対して、“大人”が“大人”としてどのように接していくべきなのか、時代や世代の変化を読んでいかないと、「イマドキの大人」と言われてしまうかもしれません。



工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。

2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)