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面接などで原体験を聞かれて、すぐに「私の原体験は…」と答えられるようなひとは多くありません。普段から原体験を意識して生活するひとなんてほとんどいないのではないでしょうか。さらに、原体験という重厚な言葉のイメージに捉われ、何か誰もが経験できるわけではない“スゴイ”ことでなければ、話してはいけないと思ってしまいます。でも、そんなことはありません。自分が感動したこと、熱中できたこと、憤りを感じたこと、なんでもいいのです。他のひとがどう思うかなんて考える必要はありません。
小さいころに入退院を繰り返していたとき、担当の看護師さんが優しくて、嬉しくて、自分もあの看護師さんのようになりたい。海外旅行でお財布を落としたとき、通りがかりのひとが身振り手振りで助けてくれて感動した。だから、日本では海外のひとをサポートできる仕事で恩返しをしたい。どの携帯電話を買おうか迷っていたら、営業販売のひとが丁寧に説明をしてくれて助かった。ちゃんとした商品を購入してもらって喜んでもらいたいので営業職に憧れる。
これらはすべて原体験です。将来の仕事につながる、つながらないは別にして、誰もがこのような経験をしていると思います。どうしても“ない”というひとでも、これから経験すればいいのです。
最近は、『社会起業家』という言葉がだいぶ知られるようになりました。社会が抱えている課題を解決しつつ、それをしっかりとビジネスにしていくひとたちのことです。社会起業家の方々と出会うと、誰もが“解決したい課題”に対する強烈な想い(原体験)を持っています。20代、30代の若者が人生をかけて社会をよくしようとしています。
逆に残念なのは、「社会起業家になりたいのですが、どうしたらよいでしょうか」という質問も案外受けることです。そこに原体験はないわけです。
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工藤 啓
くどう けい
特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)

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