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毎年、いろいろな場所で講演をさせていただく中で、現代の若者の“コミュニケーション力”について質問を受けることが多くあります。コミュニケーションという言葉は学校でも、職場でもひとつのキーワードとなっています。
質問に対して、「コミュニケーション力の有無は若者だからないわけでもなく、大人でも持っていないひとはいると思います」と私は話すようにしています。なぜなら、日常生活をおくる中で、小学生くらいの子どもに「コミュニケーション力があるな」と感じることもあれば、大人同士のコミュニケーションなのに「うまく伝えられない/伝わらない」状況に出くわすことも多々あるからです。
そんな受け答えをすると、会場からは失笑が漏れることが少なくありません。おそらく、大人自身も、コミュニケーション力については若者の問題に限らないと感じているからだと思います。誰もがコミュニケーション力は大事だと考え、そして、自分はコミュニケーション力を備えていると自信を持って言えないわけです。
ただし、多くの企業が新人(若者)に求める人材要件には“コミュニケーション力”を挙げる以上は、若者自身がそれに対して敏感になるのは仕方のないことかもしれませんが、過剰に意識をしてしまうと不安に陥ってしまいます。
実際、一緒に活動をしてみて、とてもコミュニケーションに優れている若者でさえも、「自分にはコミュニケーション力が不足している」と言ったりします。突き詰めて話を聞けば、個別具体的にどのような力が不足していると認識できているというより、漠然とした不足感でしかありません。また、誰かとの比較という意味で言えば、家族や友人など非常に近いコミュニティの中で、自分は力不足だと思い込んでしまっているだけなのです。
私は、若者だからコミュニケーション力がないなどとは思いませんが、大人が若者に対して“コミュニケーション力不足”を嘆く理由に、少しだけ思い当たる部分があります。
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工藤 啓
くどう けい
特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)

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