ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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40-2

2010-05-10UP

自己肯定感の喪失
〜自分は人から必要とされていない〜


工藤 啓

53 同じ10代でも差異がある
53-1 〜将来のことは…何とかなります〜
53-2 〜社会をよくするために生きていきたい〜
52 非日常下の成長
52-1 〜漁船にて海上に出る〜
52-2 〜無人島に踏み出す〜
51 被災地貢献のカタチ
51-1 〜現地に行けない若者たち〜
51-2 〜東京から被災地を支援する〜

50 地域に若者の居場所はない
50-1 〜不審者と思われる日常〜
50-2 〜図書館を子ども・若者の居場所に〜
49 人前で話をするのが苦手
49-1 〜他者に迷惑をかけない〜
49-2 〜客観的な“できている”で変わる〜
48 セーフティーネットとしての高校
48-1 〜給食が唯一の栄養源〜
48-2 〜学力やキャリア支援だけではなく〜
47 地震のとき若者は
47-1 〜情報を届ける〜
47-2 〜情報を拡散する〜
46 再学プログラム
46-1 学び直し機会を創る(1)
46-2 学び直し機会を創る(2)

45 卒後生活への不安
45-1 〜故郷への愛情と東京への期待〜
45-2 〜未内定より不安なこと〜
44 学び直しの取り組み
44-1 〜学び直しのニーズ〜
44-2 〜学び直せる環境作り〜
43 未来を志す
43-1 〜目的ある進路決定〜
43-2 〜行動してから考える〜
42 自分と仕事の関係性
42-1 〜自分の仕事の捉え方〜
42-2 〜3つの「ワーク」〜
41 社会人になりたい
41-1 〜社会人と会社人〜
41-2 〜社会の一員になるには〜

40 自己肯定感の喪失
40-1 〜社会の役に立ちたい〜
40-2 〜自分は人から必要とされていない〜
39 若者はコミュニケーション力がないのか
39-1 若者はコミュニケーション力がないのか(1)
39-2 若者はコミュニケーション力がないのか(2)
38 大学生の就職不安
38-1 大学生の就職不安(1)
38-2 大学生の就職不安(2)
37 価値観は“ソーシャル”へ
37-1 価値観は“ソーシャル”へ(1)
37-2 価値観は“ソーシャル”へ(2)
36 仕事につながるナナメの関係
36-1 仕事につながるナナメの関係(1)
36-2 仕事につながるナナメの関係(2)

35 「働く」が難しい
35-1 「働く」が難しい(1)
35-2 「働く」が難しい(2)
34 就活スーツについて
34-1 就活スーツについて(1)
34-2 就活スーツについて(2)
33 地域の力で自己成長
33-1 地域の力で自己成長(1)
33-2 地域の力で自己成長(2)
32 中学4年生
32-1 中学4年生(1)
32-2 中学4年生(2)
31 若者の不安とひとのつながり
31-1 若者の不安とひとのつながり(1)
31-2 若者の不安とひとのつながり(2)



 利他的でありたい。他人や社会のための努力を厭わない。そういう素晴らしい意識を持った若者は、常に自己肯定感を持って生きてほしいと願わずにいられません。しかしながら、報告書には別のデータもあります。

 70%を超える中学生が他者や社会の役に立ちたいと思っている一方、69%もの中学生が「自分は人から必要とされている」実感を持てずにいます。また、自分がホッとでき、安心していられある場所の第一位は78%で「自分の部屋」であり、第二位は44%と大きく回答数が減少して「家族と一緒にくつろぐ部屋」になっています。複数回答が認められていますので、この差数はかなり大きいように思えます。

 中学生くらいの頃は、自分の部屋が一番開放的なのはいつの時代も同じでしょう。少なくとも私はそうでした。部活から帰宅して食事をしたらすぐ自室へ。テレビを見たり、漫画を読んだりと自由空間を満喫していました。ただ、家族との時間に嫌悪感を抱いていたわけではありませんでした。あまりプライベートなことは語りませんが、無条件に褒めてもらえそうなことは積極的に話しました。家族からの褒め言葉に気を良くして、自分が経験したことや、発言・行動したことを誇らしく思ったものです。

 これだけ多くの中学生が何らかの形で役立ちたいと思い、目標に向かって行動している事実を考えると、もっと自己肯定感、自分は必要とされている感覚を持っていていいはずですが、なぜこのような結果になるのでしょうか。

 社会的に孤立した若者から、友人や先生、保護者から褒められたり、感謝の言葉をかけてもらったりした記憶はありませんという話をよく聞きます。逆に、ちょっと気遣ってくれたことに感謝の言葉をかけると、「こんなの当たり前ですよ」と照れ笑いしたりします。もしかすると、自己肯定感が持てない背景には、そのような周囲の声かけが大切なのかもしれません。

 他者に対して「感謝を言う(する)」と正反対にあるのは、「当たり前/当然だと思う(考える)」ことです。日常生活のなかのちょっとした利他的行動を見かけたとき、ささやかな感謝の言葉がけや、うまくやれたことに「すごいじゃん」とちゃんと反応すること、その積み重ねが自己肯定感の寛容につながる気がします。当たり前のようですが、案外、私もできていない節が思い起こされます。



工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。

2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)