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近所を散歩していると、3人の大工さんがノコギリで板を切っていました。3人の大工さんに「何をしているんですか?」と質問すると、
最初の大工さんは答えました。
「見ての通り、ノコギリで木を切っているんですよ」
次の大工さんは答えました。
「ここに建設する家の外壁となる木を切っているんですよ」
最後の大工さんは答えました。
「ここで暮らす家族が笑顔になれる家を建築しています。いまはその外壁となる木を切っているところです」
この大工さんたちの答えは、それぞれの大工さんが自らの仕事をどう捉えているのかを示しています。最初の大工さんは、目の前の仕事の説明をします。ただ、その仕事が何のためなのか、何につながっているのかを意識しているように思えません。与えられた仕事をただこなしているだけです。
二人目に登場した大工さんは、家の外壁となる木をノコギリで切っていると言います。自分の仕事が家の外壁作りであることがわかっていますので、当然、他の部分は自分以外の誰かが作っていることも知っています。家を建設する目的に向かうチームの一員として、その役割をしっかりと把握して仕事をしています。
最後の大工さんも二人目と同様に自分の役割を理解しています。二人目の大工さんと異なるのは、自分の仕事を「家の外壁となる木をノコギリで切る」のではなく、完成した“家に住む家族が笑顔にする”ことを目標に仕事をしています。
就職にせよ、進学にせよ、進路についての相談を受けるとき、私は目標や目的などを聞きます。お話を聞いて「それはなぜですか」と質問することも多いです。最後の大工さんのような目標(家族を笑顔にする)を持って、目的(家を建設する)を成し遂げる。その道具としての仕事/勉強(ノコギリで木を切る)内容が明確であれば間違いはないと考えます。
自らこの部分を突き詰めることができるひとは多くありません。やはり、周囲の人間がコミュニケーションを通じて目標や目的などを考えるきっかけを提供することが必要でしょう。ちなみに、「間違いはない」という意味は、失敗をするかもしれないけれど、後悔することはないということです。
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工藤 啓
くどう けい
特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)

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